臨済宗の焼香は1回が目安とされますが、公式サイトは「焼香に決まった形式はない」「本数や回数は住職に聞くのがよい」と、回数へのこだわりを持たない立場をとります。禅宗ならではの考え方と、参列者の手順をまとめました。
臨済宗の焼香は1回が目安とされています。ただし臨済宗・黄檗宗の公式サイトは、焼香に決まった形式はなく、回数は住職に聞くのがよいという立場です。「心を専一にして一心に祈るなら一回でよい」という説が紹介されており、数より心を一点に集めることが重んじられます。
このページは臨済宗の焼香を扱います。回数を他宗派と見比べたい方は焼香の回数早見表、焼香台の前での基本の動き方は焼香のやり方へ。臨済宗は同じ禅宗の曹洞宗としばしば比べられますが、曹洞宗の2回とは考え方が異なります。
- 目安は1回。ただし「決まった形式はない」が公式の立場
- 回数・本数は住職に聞くのがよい、と公式が案内
- 「一心に祈るなら一回でよい」という禅の考え方
- 同じ禅宗でも、2回の曹洞宗とは分かれる
数を問わない、が臨済宗の答え
臨済宗の焼香を調べると「1回」と書かれていることが多いのですが、公式の姿勢はもう一歩踏み込んでいます。臨済宗・黄檗宗の公式サイト(臨黄ネット)のFAQでは、焼香の回数について「線香の本数や焼香の回数は宗派によって決められた場合もありますから、菩提寺の住職にお聞きすることをお勧めします」と案内しています。
つまり「臨済宗は必ず何回」と一律に決めつけず、寺院に確かめることを勧める。これが公式の立場です。妙心寺(臨済宗大本山の一つ)が公開する『臨済宗の仏事』でも、「焼香する回数や所作は、地域の風習やその場の状況によっても異なってくるので、決まった形式はありません」と明記されています。
出典: 臨黄ネット「FAQ 焼香はどうするのが正しいのですか?」/妙心寺「臨済宗の仏事」
「一心に祈るなら一回」という考え方
では、なぜ1回が目安になるのか。臨黄ネットのFAQは、その根拠に禅の言葉を挙げます。「万法唯一心(ばんぽうゆいいっしん)」という言葉を用いて、心を専一にし、一心に亡き人の冥福を祈るところから、線香も焼香も一回でよいという説もある、というものです。
すべてはひとつの心に帰する。だから香も一つに、心を集める。回数を増やすことより、その一回に心を込め切ることを重んじる。これが臨済宗の焼香を貫く考え方です。全葬連の宗派別一覧でも、臨済宗の焼香は1回、線香も1本と紹介されており、目安としての「1回」はここと整合します。
手順(一例)
決まった形式がない、という前提のうえで、妙心寺の解説が示す一例です。
- 遺族に一礼し、祭壇に向かって合掌します
- 左手に数珠を掛け、右手の親指・人差し指・中指で抹香を軽くつまみます
- 燃えている香炭の上に、静かにのせます
- 仏前に向かって合掌・礼拝します
妙心寺の解説は、この所作よりも「姿勢を正し、心を込めて香を献じること」が大切だと結んでいます。押しいただくかどうかを含め、細部が会場によって違っても気にしすぎる必要はありません。数珠の扱いに不安があれば数珠の持ち方を先に見ておくと落ち着けます。
同じ禅宗でも、曹洞宗とは分かれる
臨済宗と曹洞宗は、どちらも坐禅を重んじる禅宗です。焼香もつい同じと思われがちですが、回数の扱いは分かれます。
- 臨済宗: 1回が目安。ただし「決まった形式はない」が公式の立場
- 曹洞宗: 2回。1回目(主香)だけ押しいただき、2回目(従香)はそのまま
同席する家族が両宗派にまたがることもあります。相手の宗派に合わせて2回にすべきか迷ったら、その場の導師や係の案内に従うのが確実です。曹洞宗側の作法は曹洞宗の焼香にまとめています。
地域・寺院による違い
焼香の回数や所作は、宗派だけでなく地域や寺院、家ごとの慣習によっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、菩提寺や式を担当する葬儀社に確認するのが確実です。
関連ページ
回数の定めがゆるやかな宗派としては天台宗も同様です(天台宗の焼香)。8宗派を一覧で見比べたい方は焼香の回数早見表からどうぞ。
よくある質問
臨済宗の焼香は何回ですか?
1回が目安とされ、全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の宗派別一覧でも臨済宗は1回と紹介されています。ただし臨済宗・黄檗宗の公式サイトは、焼香の回数や本数は宗派で決まっている場合もあるので菩提寺の住職に聞くのがよい、という立場をとっています。
臨済宗はなぜ焼香1回でよいのですか?
臨済宗・黄檗宗の公式サイトでは、万法唯一心という言葉を挙げ、心を専一にして一心に亡き人の冥福を祈るところから、線香も焼香も一回でよいという説がある、と紹介されています。数より心の一点に集約する禅宗らしい考え方です。
臨済宗の焼香で押しいただきますか?
妙心寺(臨済宗大本山)の解説では、左手に数珠を掛け、右手の3本指で抹香をつまんで香炭の上に静かにのせる、と案内されており、決まった形式はないとしています。額に押しいただくかどうかも厳密には定められていません。
臨済宗で線香をあげる場合は何本ですか?
全葬連の解説では臨済宗の線香は1本と紹介されています。公式サイトも一心に祈る立場から一本でよいという説を挙げています。1本を丁寧に立てれば十分とされています。
出典