数珠は房を下に垂らし、左手に持つのが基本です。合掌のときの掛け方、移動中や着席中の扱い、置くときの注意までを各宗派の公式サイトの案内をもとに解説。宗派ごとの本式の持ち方は触りだけ紹介し、宗派別ページに案内します。
数珠は房を下に垂らし、左手に持つのが基本です。合掌のときの掛け方は宗派で異なりますが、移動中や座って話を聞いている間は「左手に持つ・房は下」で通せば心配いりません。畳や床に直接置かないことだけ気をつけてください。
この記事の要点です。
- 移動中・待機中は左手に持ち、房は下に垂らす
- 合掌のときは左手に掛ける宗派と、両手に掛ける宗派がある
- 畳や床に直接置かない・投げない
- こすって音を出す所作は、しない宗派が多い
- 宗派ごとの本式数珠と細かい作法は宗派別ページへ
数珠とは。念珠とも呼ばれる理由
数珠(じゅず)は、仏さまに手を合わせるときに用いる法具です。「念珠(ねんじゅ)」とも呼ばれます。天台宗の公式サイトの法話では、仏さまを念じてお名前を唱える回数を数えることに由来する名前だと説明されています。
珠の数は108個を基準とするのが普通で、54個・36個・27個・18個などはその略とされています。同じ法話では、悩む王さまにお釈迦さまが木槵子(もくげんじ)の実108個で作った数珠を与え、珠を繰りながら仏の名を唱えるよう説いたという「木槵子経(もくげんじきょう)」の説話が、数珠の由来として紹介されています。
おもしろいのは、同じ数珠でも宗派によって意味づけが違うことです。日蓮宗の公式サイトは「悪心をおさえ、すべての煩悩を取り除く大切な法具」と説明する一方、浄土真宗本願寺派の公式サイトは、念珠を煩悩を滅する道具でも回数を数える道具でもなく、「阿弥陀さまに合掌礼拝する時の礼儀として用いる」と案内しています。道具ひとつにも、それぞれの教えが表れています。
このページでは、どの宗派の式に参列しても困らない基本の持ち方を扱います。宗派ごとの本式の作法は触りだけにとどめ、詳しくは宗派一覧の各ページに委ねます。
基本の持ち方。左手に、房を下に
参列中の大半の時間、数珠は「持っているだけ」です。このときの形は各宗派の公式サイトの案内がほぼ一致しています。
- 浄土真宗本願寺派:「常に房を下にたらし、左手で持つ」
- 天台宗:「左手に数珠をかけ」
- 真言宗豊山派:「念珠を左手にし」
- 日蓮宗:「房を下にし、左手に2重に掛けて持ちます」
つまり、迷ったら左手に掛けて房を下に垂らしておけば、どの式でも不自然にはなりません。浄土宗は、合掌時以外は左手首に掛けておくとよいと案内しています。焼香のときも、香をつまむ右手を空けるため数珠は左手側に残します。
合掌するときの掛け方
合掌のときの形は、宗派の個性が出るところです。公式サイトの案内をいくつか並べます。
| 宗派 | 合掌時の数珠 |
|---|---|
| 浄土真宗本願寺派 | 両手に掛け、親指で軽く上から押さえる |
| 浄土宗 | 両方の親指に二つの輪を掛け、房は手前に垂らす |
| 日蓮宗 | 房を下にし、左手に2重に掛ける |
| 天台宗 | 左手に掛ける |
同じ「合掌」でも、両手に掛ける宗派と片手に掛ける宗派に分かれます。参列者として他家の式に出る場合、ここまで厳密に合わせる必要はないとされています。自分の家の宗派の形が知りたい方は、宗派の調べ方で確認してから各宗派のページをどうぞ。
避けたいとされる扱い方
各宗派の公式サイトで共通して注意されているのは、次の点です。
- 畳や床に直接置かない。投げない(浄土真宗本願寺派)
- こすり合わせて音を出さない(浄土宗・本願寺派・日蓮宗)
- 首に掛けない(日蓮宗)
置き場所に困ったら、バッグにしまうか、袱紗やハンカチの上に置きます。なお「こする」所作は一律のNGではなく、真言宗豊山派のおつとめには「やさしく念珠をすり」という形が残っています。他宗派の所作を見ても、間違いと決めつけないのがこのジャンルの心得です。
数珠を持っていないときは
曹洞宗の公式サイトは、法事には施主も参列者も数珠を忘れずに持参するよう案内しています。仏式の式では持っているほうが望ましい持ち物です。
ただ、忘れたり持っていなかったりしても、参列できないわけではありません。合掌は数珠がなくてもできます。急な訃報で用意が間に合わないときは、そのまま参列して丁寧に手を合わせれば十分です。
本式と略式。自分の宗派の数珠
宗派ごとに形の決まった数珠を本式数珠と呼びます。浄土宗の公式サイトは、輪を二つ組み合わせた「日課数珠(毎日お念仏をとなえるための数珠)」を紹介しています。日蓮宗の公式Q&Aによると、日蓮宗には僧侶用の装束(しょうぞく)数珠と一般用の勤行(ごんぎょう)数珠があり、勤行数珠は房が丸い菊房・玉房になっています。珠の素材は香木・梅・黒檀・菩提樹・水晶など多様ですが、一般の方には自然木や木の実などあまり華美でないものが望ましい、という案内も添えられています。
一方、珠数の少ない一連タイプは略式数珠と呼ばれます。これから数珠を用意する方は、自分の家の宗派を確かめてから選ぶと、法事のたびに使えて無駄がありません。宗派ごとの特徴は仏教の宗派一覧から辿れます。
参列当日の数珠の動き
通夜・葬儀での数珠の扱いを、場面ごとに並べます。
- 会場に着いたら、受付の前に数珠を左手に掛けておく(香典の受け渡しは右手が空いているとスムーズです)
- 着席して待つ間は、左手に持つか左手首に掛けたままにする。座席や畳の上には置かない
- 焼香の列に並ぶときも左手のまま。香をつまむのは右手なので、持ち替えは不要
- 合掌のときだけ、自分の宗派の形(両手または左手)に掛ける
この4場面さえ押さえれば、数珠で戸惑うことはほぼなくなります。
地域・宗派・寺院による違い
数珠の作法は宗派だけでなく、地域や寺院、家ごとの慣習によっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、菩提寺や式を担当する葬儀社に確認するのが確実です。
あわせて確認したいページ
通夜・葬儀の場では、数珠とあわせて焼香のやり方を押さえておくと落ち着いて動けます。服装に不安がある方は葬式の服装をどうぞ。焼香の回数が宗派でどう違うかは8宗派早見表にまとめています。
よくある質問
数珠はどちらの手に持ちますか?
左手が基本です。浄土真宗本願寺派は「房を下にたらし、左手で持つ」、天台宗は「左手に数珠をかけ」、真言宗豊山派は「念珠を左手にし」、日蓮宗は「房を下にし、左手に2重に掛けて持ちます」と、各宗派の公式サイトがそろって左手を案内しています。
数珠を忘れたら失礼になりますか?
仏式の葬儀・法事では持参するのが望ましいとされています。曹洞宗の公式サイトも、法事には施主も参列者も数珠を忘れずに持参するよう案内しています。ただし、持っていなくても合掌そのものはできますし、参列を控える理由にはなりません。次の機会までに用意すれば十分です。
数珠を椅子や畳の上に置いてもいいですか?
浄土真宗本願寺派の公式サイトでは、念珠は大切な法具なので、畳や床に直接置いたり投げたりしないよう案内されています。手から離すときは、バッグにしまうか、ハンカチや袱紗の上に置くと安心です。
数珠の珠の数に意味はありますか?
天台宗の公式サイトの法話では、珠の数は108個を基準とするのが普通で、54個・36個・27個・18個などはその略とされています。お釈迦さまが木槵子(もくげんじ)の実108個で作った数珠を王さまに与えたという「木槵子経」の説話が由来として紹介されています。
数珠をこすって音を出すのはマナー違反ですか?
宗派によります。浄土宗は「手のひらでお数珠をこすり合わせるなどの作法は、浄土宗の作法にはありません」、浄土真宗本願寺派は「珠をこすり合わせて音を出したりしません」、日蓮宗も「こすって音を出しながら拝むのは好ましくない」と案内しています。一方、真言宗豊山派のおつとめでは「やさしく念珠をすり」という所作が紹介されており、一律のマナーではなく宗派の作法の違いです。
出典