法事の香典に決まった額はなく、故人との関係と会食の有無で決めるのが一般的です。四十九日法要からの表書きは「御仏前」。葬儀時の調査データの読み方と、続柄・年代別の目安がわかる香典相場診断つき。
法事の香典に、全国一律の決まった金額はありません。故人との関係の深さと、法要後の会食(お斎)に出るかどうかをふまえて決めるのが一般的です。表書きは四十九日法要からは「御仏前」を使います(浄土真宗は葬儀の時点から「御仏前」)。続柄と年代からの目安は香典相場診断で確認できます。
要点は次の5つです。
- 法要別の香典を集計した全国調査は確認できていない
- 決める軸は「故人との関係の深さ」と「会食に出るかどうか」の2つ
- 表書きは四十九日法要から「御仏前」。それより前は「御霊前」が一般的
- 浄土真宗は最初から「御仏前」。神式・キリスト教式は表書きが異なる
- 4・9の付く額と偶数は法要でも避けるのがタブーとされる
法事の香典に「決まった額」はない
「四十九日は○円、一周忌は○円」と言い切れる根拠のある数字は、実は存在しません。
このページの金額データについて
法要の香典だけを集計した、出典を示せる全国調査は現時点で確認できていません。そのため、このページでは法要別の「相場○円」という断定はしていません。次の章の表は、通夜・葬儀のときに参列者が実際に包んだ香典の調査データ(葬儀時の調査)です。関係の深さと金額の対応関係をつかむ参考としてご覧ください。
参考データ:葬儀時の調査に見る関係別の香典
一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が葬儀の会葬者5,177名から回答を得た「第6回 香典に関するアンケート調査」(令和3年度実施)では、故人との関係別の香典は次のとおりでした。
| 故人との関係 | 最多回答額 | 平均額 |
|---|---|---|
| 祖父母 | 5,000円 | 14,942円 |
| 親(実親・義理の親) | 100,000円 | 59,711円 |
| 兄弟・姉妹 | 50,000円 | 45,452円 |
| おじ・おば | 10,000円 | 18,285円 |
| 上記以外の親戚 | 10,000円 | 17,000円 |
| 友人またはその家族 | 5,000円 | 6,649円 |
| 職場関係 | 5,000円 | 6,204円 |
出典: 一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会「第6回 香典に関するアンケート調査」(令和3年度実施)
繰り返しになりますが、これは葬儀時の調査であり、法要の金額そのものではありません。ただ「関係が近いほど多く包む」という構造は法要でも変わらないため、目安の骨格として使えます。年代別の全データは香典相場早見表にまとめています。
四十九日〜回忌別の考え方
法要ごとの金額データはありませんが、性格の違いは押さえておくと迷いが減ります。
- 四十九日。忌明けとなる大きな節目の法要です。親族を中心に会食まで行われることが多く、参列の輪も比較的広めです。日程や当日の流れは四十九日はいつ?で解説しています
- 初盆(新盆)。故人が亡くなって初めて迎えるお盆です。全葬連の解説では、香典の金額は四十九日やその他の法要よりも高くなる傾向があるとされています。詳しくは初盆とはへ
- 一周忌。満1年の節目で、親族が集まる規模で営まれることが多い法要です。金額・表書き・袋の選び方は一周忌の香典相場で個別に解説しています
- 三回忌以降の回忌法要。全葬連の解説では、年数が経つにつれて香典の金額は低くなる傾向があり、法要の規模によっても変わるとされています。回忌の数え方は三回忌はいつ?と回忌早見表でどうぞ
どの法要でも、金額を左右するのは結局「会食(お斎)に出るかどうか」です。出席する場合は、施主が負担する食事代をふまえて多めに包む配慮が広く行われています。夫婦で出席するなら、その分も考慮して連名で1包みにまとめるのが一般的です。
地域・寺院・家によって異なります
法要の営み方や香典の慣習は、宗派だけでなく地域や寺院、家ごとの慣わしによっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは施主側や親族の年長者に確認するのが確実です。
表書きは「四十九日」が境目
法事の香典で最も間違えやすいのが表書きです。基本の使い分けは次のとおりです。
| 場面 | 表書き |
|---|---|
| 通夜・葬儀〜四十九日より前 | 御霊前(ごれいぜん) |
| 四十九日法要以降の法要・納骨 | 御仏前(ごぶつぜん) |
| 浄土真宗(時期を問わず) | 御仏前 |
| 神式 | 御玉串料・御榊料 |
| キリスト教式 | お花料・御ミサ料 |
全互協のマナー解説では「御仏前」は仏式四十九日の法要から使えるとされ、全葬連の四十九日法要の解説でも、持参する香典の表書きは「御仏前」または「御佛前」と案内されています。四十九日以降の法事なら「御仏前」を選べば迷いません。
浄土真宗は、亡くなった時点で成仏すると考えるため、葬儀の時点から「御仏前」を使い「御霊前」は使いません(全葬連の解説)。御霊前を使える範囲の詳細は御霊前とはをご覧ください。
香典とお供え物、どちらも必要?
香典だけで問題ないとされていますが、地域や家によっては菓子や果物などのお供え物も持参する慣習があります。全葬連の解説では、仏式の供物は線香・ろうそく・お菓子・果物などが挙げられ、日持ちのするものを選び、高額なものはかえって遺族に気を遣わせるため避けるとされています。
供物を持参する場合の表書きは「御供物(おくもつ)」など、香典とは別の書き方になります。持参するかどうかを含めて、事前に施主側へ一言確認しておくと行き違いがありません。
包み方と当日のマナー
金額と表書きが決まったら、あとは3点だけです。
- 数字の確認。4・9の付く額と偶数は法要でも避けるのがタブーとされています(全互協のマナー解説では2千円と2万円はかまわないとされています)
- 名前・中袋の記入。書き方の手順は香典の書き方で図解しています
- 持参の仕方。香典は袱紗(ふくさ)に包み、施主に挨拶するときに渡すのが一般的です
法要の日程がまだ決まっていない側(施主側)の方は、命日から四十九日〜五十回忌を自動計算できる法要日程計算機と、法事・法要の基本をご覧ください。
続柄と年代を選ぶだけで葬儀時の調査データから目安を出せる香典相場診断も用意しています。
よくある質問
法事の香典の相場データはないのですか?
四十九日や回忌法要など、法要の香典だけを集計した出典を示せる全国調査は現時点で確認できていません。このページで紹介しているのは通夜・葬儀のときの調査データ(全互協・令和3年度)で、関係の深さと金額の対応をつかむ参考としてご覧ください。
四十九日の法要の表書きは「御霊前」と「御仏前」のどちらですか?
全互協のマナー解説では「御仏前」は仏式四十九日の法要から使えるとされ、全葬連の四十九日法要の解説でも持参する香典の表書きは「御仏前」または「御佛前」と案内されています。なお浄土真宗では、葬儀の時点から「御仏前」を使うとされています。
法事を欠席するとき、香典はどうすればいいですか?
現金書留で送るか、後日お参りに伺って直接渡す方法があります。送る場合は、欠席のお詫びと故人を偲ぶ気持ちを書いた手紙を添えると丁寧です。お供え物を送る場合もあるため、施主に一言確認すると行き違いがありません。
会食(お斎)に出ない場合、香典は少なめでもいいですか?
決まりはありません。会食に出席する場合に、施主が負担する食事代をふまえて多めに包む配慮が広く行われている、というのが一般的な考え方です。出ない場合の額に迷ったら、ほかの参列者や親族の年長者に確認するのが確実です。
御仏前でも4や9の付く金額は避けますか?
避けるのがタブーとされています。4は「死」、9は「苦」を連想させるためです。偶数も避けるとされますが、全互協のマナー解説では2千円と2万円はかまわないとされています。
出典