一周忌のお布施に決まった金額はありません。金額は寺院とのお付き合いや地域によって変わります。菩提寺への確かめ方、御車代・御膳料を包む場面の見分け方、袋の表書きと渡し方を、全日本仏教会の見解とあわせてまとめました。
一周忌のお布施に、全国一律の決まった金額はありません。お布施は読経への対価ではなく、お寺への感謝として納めるものとされているためです。一周忌は日程の前倒し相談で菩提寺と連絡を取る機会があるので、そのときに金額もあわせて尋ねてください。会食や会場の都合によっては、御車代・御膳料を別に用意します。
この記事の要点です。
- お布施に定価はない。全日本仏教会も価格一覧の表示を認めない立場
- 日程の前倒し相談の電話が、金額を尋ねるいちばん自然な機会
- 寺院の外で営むなら御車代、僧侶が会食を辞退されたら御膳料を別に包む
- 封筒は白無地、表書きは「御布施」、墨は普通の濃さで書く
- 参列者が包むのは香典。お布施は施主側だけが用意する
一周忌のお布施に定価はない
一周忌は、故人が亡くなってから満1年の祥月命日(しょうつきめいにち)に営む年忌法要です。このお布施について、官公庁や業界団体が公表した金額調査は見つかりませんでした。当サイトは出典を示せない金額を載せない方針のため、目安の金額ではなく確かめ方をお伝えします。
金額の一覧が世の中に出回らないのには理由があります。全日本仏教会は2011年の文書で、お布施の金額を一覧表示することは喜捨(きしゃ・自らの意思で差し出す施し)の精神に反するとして認めない立場を示しました。お布施は読経の料金ではなく、お寺という場を支える寄進であり、金額は本来包む側が決めるものです。
この位置づけの詳しい説明と、葬儀の際のお布施に関する公開調査データはお布施の相場と渡し方で確認できます。
金額は「日程相談の電話」で確かめる
一周忌は、命日当日ではなく、その前の土日に前倒しして営むのが一般的とされています。つまり施主は、日程を決めるために必ず一度、菩提寺へ連絡することになります。この電話が、お布施を尋ねるいちばん自然な機会です。
- 「一周忌の法要をお願いしたいのですが、お布施はどのくらい包ませていただくものでしょうか」
- 「皆さまはどのくらいお包みでしょうか」
聞くこと自体は失礼にあたらないとされています。「お気持ちで」と返されたら、次の2つに進んでください。
- 親族の年長者に、四十九日や過去の法事で包んだ額を聞く。同じお寺との前例がいちばん実情に近い答えです
- 葬儀でお世話になった葬儀社や法要会館に、地域の慣例を尋ねる
それでも手がかりがないときは、家族で相談して無理のない額を決めれば大丈夫です。生活を圧迫してまで包む必要はなく、その判断は喜捨の考え方とも矛盾しません。
御車代・御膳料はどんなときに必要?
一周忌は会食(お斎・おとき)まで含めて営む家庭が多く、お布施のほかに包むものの判断が発生しやすい法要です。状況ごとに整理すると次のようになります。
| 状況 | 用意するもの |
|---|---|
| 寺院で法要を行い、僧侶が会食に同席 | 御布施のみ |
| 自宅や法要会館に僧侶を招く | 御布施+御車代 |
| 僧侶が会食を辞退された | 御布施+御膳料 |
| 外の会場に招き、会食も辞退された | 御布施+御車代+御膳料 |
- 御車代(おくるまだい): 交通費として包むもの。施主が車で送迎する場合は不要とされます
- 御膳料(おぜんりょう): 会食の代わりとして包むもの。会食に同席いただく場合は不要とされます
それぞれ白無地の封筒に分けて表書きし、お布施と一緒に渡すのが一般的です。金額は地域差が大きいため、お布施とあわせて菩提寺や親族に確認してください。
袋の書き方と渡し方
- 封筒は白無地のもの(郵便番号欄のないもの)か、「御布施」と印刷された市販の封筒
- 表書きは「御布施」または「お布施」。下段に施主の姓名か「〇〇家」と書く
- 墨は普通の濃さ。薄墨は香典など弔意を表す場面の作法とされる
- お札は新札で差し支えない
- 封筒の裏面か中袋に住所と氏名を書いておくと、お寺側が整理しやすい
渡すときは手渡しを避け、切手盆(小さな黒いお盆)か袱紗(ふくさ)の上に載せて、文字の向きを僧侶側に回して差し出します。タイミングは法要が始まる前の挨拶時か、読経後にお礼を伝えるときです。袱紗の扱いは袱紗とはで図解しています。
渡すときの言葉は一言で十分
長い口上は要りません。法要前なら「本日はよろしくお願いいたします。どうぞお納めください」、法要後なら「本日はありがとうございました。どうぞお納めください」で十分です。御車代・御膳料を一緒に渡す場合は、お布施を一番上にして重ねて差し出します。
なお、一周忌の費用を故人の子どもたちで分担する家庭もあります。その場合も、お寺に渡すお布施の袋は施主の名前でひとつにまとめるのが一般的です。分担の相談は家の中で済ませ、当日は施主が代表して渡すと、お寺側も戸惑いません。
参列する側は香典を用意する
お布施は施主側がお寺に渡すもので、参列者は包みません。参列する側が持参するのは香典で、一周忌は四十九日を過ぎているため表書きは「御仏前」が一般的です。金額の考え方と袋の選び方は一周忌の香典相場にまとめています。
地域・宗派・寺院による違い
お布施の考え方や金額の慣例は、宗派だけでなく、地域や寺院、家ごとのお付き合いによっても異なります。この記事は一般的な例のご紹介です。迷ったときは、菩提寺や法要を手配する葬儀社に確認するのが確実です。
一周忌の日付と準備全体を確認する
一周忌は満1年の祥月命日が基準です。名前が似ている「一回忌」は命日そのものを指す別の数え方なので、混同に注意してください。正確な日付は法要日程計算機に命日を入れると、三回忌以降の分まで一度に確認できます。
案内状や会食、引き出物まで含めた準備の段取りは一周忌の準備と当日の流れにまとめています。お布施の用意はこの段取りの一部として、日程確定のタイミングで一緒に済ませてしまうのがスムーズです。
よくある質問
一周忌のお布施はいくら包めばいいですか?
全国共通の決まった金額はありません。全日本仏教会は、お布施は喜捨の精神にもとづくものとして金額の価格一覧表示を認めない立場を示しています。日程を菩提寺に相談する電話のときに「お布施はどのくらい包ませていただくものでしょうか」とあわせて尋ねるのが確実です。
御車代と御膳料はどんなときに包みますか?
御車代は、僧侶に自宅や法要会館など寺院の外まで出向いてもらったときに交通費として包みます。御膳料は、法要後の会食を僧侶が辞退されたときに食事の代わりとして包みます。寺院で法要を行い、会食にも同席いただく場合は、どちらも不要とされるのが一般的です。
法要を命日より前倒しした場合、お布施の考え方は変わりますか?
変わりません。一周忌は参列者が集まりやすい土日に前倒しして営むのが一般的で、日付がずれてもお布施はお寺への感謝として包むものという位置づけは同じです。金額に迷う場合は日程相談の際にあわせて確認してください。
お布施は新札でも大丈夫ですか?
新札で差し支えないとされています。香典と違い、お布施は不幸を悼む不祝儀ではなく、お寺への感謝として納めるものだからです。きれいなお札をそろえるほうが丁寧とする考え方が一般的です。
参列する側もお布施を包みますか?
包みません。お布施は法要を営む施主側がお寺に渡すものです。参列する側が持参するのは香典で、一周忌では表書きを「御仏前」とするのが一般的です。金額や袋の選び方は一周忌の香典の記事で確認できます。
出典